税務最新情報
2021年07月20日号 (第403)
コロナ収束後に備えておくべきこと
みなさん、こんにちは、まさかの4度目の緊急事態宣言となりました。ワクチン接種もそれなりに浸透してきていますし、感染者数が増加する要因がよくわかりません。
そんな中でも、会社経営は淡々と進んでおり、コロナの影響を強く受けている業種と、あまり影響を受けていない業種といろいろです。今回は、コロナ収束後に備えてというテーマで書いてみます。
税務調査が集中?
昨年の4月以降、私の関与先で税務調査があったのは1件のみです。しかも、電話で必要な書類を言われて、郵送して、電話で話がまとまるというリモート調査のような形態でした。緊急事態宣言中は、調査を開始しないのでしょうか。調査の連絡があったのは、昨年の夏場の緊急事態宣言が解除されている時期でした。
一方で、コロナが収束した後は、数年分の税務調査が一気に集中しそうで、恐怖感があります。私のお客さんでは、例年5~6件調査があり、比較的大規模なお客さんは3年に1回は来るようなイメージでしたから、少なくとも税務署の中では着手案件は溜まっているはずです。
ただ、数字に異常があって着手というケースは減少するかもしれません。昨年の4月と5月は営業そのものを自粛していたり、今年も土日は小売店が営業できなかったりと、そもそも異常な状態が当たり前です。会社側では、保険の解約をしたり、融資を受けたりと、貸借対照表の数字も大きく変化していて、決算月によっては、在庫がゼロとか、売掛金がゼロとか常識的な比較ができなくなっています。
与信管理
現在は、緊急融資で資金繰りが回っている会社も、黒字化しなければ、いつかは資金不足になります。コロナ収束後に資金繰りが回らずに、破綻する会社が数多く出てくるように思います。小売店などでは、撤退が決定している場合でも、即時撤退の場合の補償などとの兼ね合いで、赤字を垂れ流しながら経営しているケースも存在します。実際の今の街の状況と、1年後の街の状況ではがらっと変わってしまう可能性があります。
取引先の倒産に備えて、売掛金については早期に回収する、期間が長期化する手形取引は極力減らすなどの工夫は必要かもしれません。また、取引先との会話で先行きについての動向などの情報収集も必要です。
実際に、お客さんとの会話によると、取引先が倒産したという話が複数で、聞こえ始めています。
株の評価が下がっているのなら事業承継のチャンス
業績が悪くない業種も存在する一方、10年で作った貯金がゼロになっている会社もあります。業績悪化は、会社にとって不幸な事実ですが、株式の評価が極端に下がっているケースも存在します。
後継者への株式の贈与、売却などを考えている場合には、株価が下がっている今がチャンスです。業績が悪化している場合は、是非、検討してみましょう。
節税商品の精算
節税のために保険に入っているケース、リース契約をしているケースがありますが、課税の繰延の効果しかなく、黒字が延々と続くと解約のチャンスを失ってしまいがちです。大きな赤字であれば、いったん節税商品の精算を行うことは、キャッシュフローでプラスになり、赤字も減らす効果があり、メリットが大きいです。黒字が続くことで、解約できない節税商品を保有している場合は要検討です。
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